海南省は多民族が融合した省です。そのうち、漢族、棃(リー)族、苗(ミャオ)族や回族は多世代居住の民族です。棃(リー)族、苗(ミャオ)族や回族は主に海南の中部、南部の瓊中、保亭、白沙、陵水、昌江などの県、また、三亜市や五指山市にあり、漢族は主に、東北部、北部と沿海地区に分散して住んでいます。その他の民族は中華人民共和国解放後に移住した幹部、職員やその子孫になり、全省各地に分散されています。千百年もの間、漢族、黎族、苗族、回族などの各民族が仲良く共存し、共に豊かで多彩な歴史文化を発展させ、多くの伝統的な祝日を作りあげてきたのです。
【海南黎族】
海南の黎(リー)族は、海南島で最も古い住民です。住まい、飲食、服装、婚姻、祝祭等、独特な風習があります。黎族の人々は熱帯気候に適応した独自の飲食文化を創り出しました。例えば、山蘭米飯・竹筒飯・山の果実飯等の特色飯、ビアン酒(甘酒)、バナナ酒、サツマイモ酒等の自家製酒、また、“南殺”(ナンサ、黎族の漬物)、肉茶(黎族特製マリネ肉)、魚茶(黎族特製マリネ魚)等の特色料理が挙げられます。海南に来られたら、ぜひ黎族の特色グルメを食べてみましょう。
黎族は特色グルメだけでなく、素晴らしい民間手工芸品も豊富です。黎錦、木製品、陶器、楽器、絵画等、いずれも黎族の民間手工芸品の長い歴史と抜群な技が現われます。その中、無形文化財に認定されたものもあります。海南島のお土産と言えば、これらの手工芸品は良いでしょう。
【海南苗族】
苗(ミャオ)族は、海南島の多世代居住民族の一つです。人口は約6万人余り、海南島少数民族の中で黎族に次ぐ2位です。苗(ミャオ)族が海南島に移住したのは明の嘉靖から万暦年間の初め、広西省等の地方から兵士として海南へと当時の朝廷に命じられたのが最初で、その後、一部の兵士がそのまま海南に定住しました。また、良い生活を求めるために海南に移住した人もいました。今まで400年余りの歴史です。
苗(ミャオ)族文化を体験するなら、海南の檳榔(ビンロー)谷黎苗族文化観光区が最適でしょう。檳榔谷の雨林苗寨(苗族集落)は、長い時間の積み重ねを経て、海南島で唯一の真実の苗族文化を再現させた見どころの場所です。檳榔谷の雨林苗寨は後山雨林にあり、苗族の日常生活場面を再現し、狩猟文化、苗薬文化、人と自然のハーモニーがとれた文化を表現しています。
【海南回族】
海南の回族は、主に羊欄鎮の回輝村と回新村に住んでいます。回族の人は特に商売が上手と言われています。海南回族の先祖は主にペルシャ人とアラブ人で、一部だけが中国本土からです。回族の言葉は、海南語とほかの様々な方言と違い、アラビア語に似ている発音で、中国の言語学者に「回輝語」と呼ばれています。
海南の回族はイスラム教を信仰し、伝統的な祝日は「イードアルフィトル(イスラム教の断食明けの祭り)」と「クルバン節(イスラム暦12月10日に行われる犠牲祭)」です。『コーラン経』に従って毎日5回をアッラーに祈り、毎週金曜日モスクに集まり礼拝を行い、『コーラン経』を習います。イスラム教の法が厳しいため、回族は現在でも先祖からの伝統を良く続けており、海南の宗教文化の重要な一つです。海南の回族歴史や風情を知りたいなら、梅山古墳群、海棠湾古墳群やモスクを見学するのが良いでしょう。